「廻光 いわきからの贈り物」
Guggenheim 2 
なんとかなりそう
廃船組み立てに不安
なんとかなりそう
廃船組み立ては
 ほとんど完成だが・・
蔡さんの個展タイトル
 I want to belive
嬉しかったこと沢山!
カナダ国立美術館
プロジェクトはこちら
0
船の傾きを整えるためロープを引っ張る

Photo Ono Kazuo
2日目の朝、美術館に到着すると昨日帰る時より作業が進んでいた。我々がホテルに戻ってからも仕事をしていたようだ。2日目になると要領も良くなって、作業のスピードがアップしてくる。しかしいわきチームの時差ボケは相変わらずで、顔を見合わせては眠いねと言いあう。

真木さんが三回大きな怪我をしそうになる。私と武美君と真木さんでロープを引っ張る。思い切りひいた途端にロープが切れ、真木さんが後ろにひっくりかえる。運良く怪我はない。次はみんなで船の一部を押す作業。床の上に廃船からでた砂があり、真木さんは砂で足を滑らせ顔を木に打ちつける。真木さんが一瞬顔を押さえる。みんなが心配して、大丈夫ですかと聞くと真木さんは「前歯が三本折れて飲み込んでしまった」と言う。通訳の麻生君は一瞬本当にびっくりする。私たちは笑い出した。鼻の下に血はにじんているが、冗談言えるのだから大丈夫だと思った。真木さんはヒゲでわからないが前歯がもともとないのだ。

3日目は、美術館スタッフといわきチームの気心もわかってきてさらに組み立てのスピードがアップされた。通訳の麻生君が頑張ってくれるので助かる。明日には全体像がまとまりそうだ。

組立て状況をチェックする蔡さん

Photo Ono Kazuo
廃船組み立ては作業4日目となった。厄介な船首の部分の組み立ても終わり、いわきチームも美術館スタッフもかなりホッとした気持ちになっていた。ワシントンの時やカナダの時と比べて、船体の継ぎ目が綺麗に仕上がっている。美術館スタッフが工夫をして新しい方法を試したのだ。これがうまく行ってチェックに来た蔡さんも「綺麗に仕上がりましたね」とほめてくれた。蔡さんが私に組み立ての過程にOKをだす事が、その部分の作業の終わりをさす。

蔡さんは美術館内で複数の作業が進行しているが、大事なポイントで必ずチェックに来る。最上階に展示される廃船は特に大きな役割を持つようだ。私の仕事は、蔡さんの要望を把握してその基準どおりに美術館スタッフに組み立ててもらうこと。作業の進行ごとに美術館スタッフから通訳の麻生君を介して作業の方法が説明され、この方法で間違いないかと問われる。そして作業が進み仕上がるとその部分の確認を要請される。蔡さんの持っている物差しと私の基準が違ってないか常に考えなければならないのはかなりのプレッシャーになる。

時差ボケで座って一瞬寝てしまうと「志賀さん見てください」と麻生君に呼ばれることが何度かあった。麻生君が私に「蔡さんが志賀さん疲れているようですね、無理しないように伝えてください」と言った。いわきチームは、私を含め誰かが展示場の端で寝ていることがある。ニューヨーク到着日すぐ仕事を始めたことが影響しているのかもしれない。こんな状況ながら夕方には廃船は、大まかな組み立てが終わりに近づいている。