「廻光 いわきからの贈り物」
Guggenheim 3 
廃船組立てはほとんど完成だが・・・
廃船組み立てに不安
なんとかなりそう
廃船組み立ては
 ほとんど完成だが・・
蔡さんの個展タイトル
 I want to belive
嬉しかったこと沢山!
カナダ国立美術館
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船の傾きをチェックする

Photo Ono Kazuo
蔡さんがチェックに来て、廃船の側面が以前と比べて倒れていませんか?と私に聞く。確かに言われる通り船の側面が倒れている。カナダの時の写真と比べて見ても明らかだ。組み立てる順番や方法は同じだったことを説明する。蔡さんはかなり不満な様子だ。確かに以前のような迫力に欠ける。こうなった原因は狭い入り口に合わせ新たに船を細かく切断したことにある。船を輪切りにしてあったものを更に縦に切った。それを鉄板でつないだため、船の底と側面の角度が変わってしまっていたのだ。気が付かなかった私の責任だ。かなりまいった。
今から直すのには3日間の作業を要する。考えていると蔡さんから今日は終わりましょう。明日どうしたらいいか考えましょうと言われる。そして私に笑いかけ「毎回必ずいろいろありますね」と楽しい共通の宿題を持ったような表現をしてくれた。これが蔡さんと一緒に仕事をする時の面白さで魅力だ。急に十数年前にいわきで一緒に仕事をした時のお互いの信頼感を思いだした。なんとかなる、必ず良い結果にできる、蔡さんも同じ感覚だったに違いない。

蔡さんに誘われ日本料理店で夕食

Photo Ono Kazuo
作業の後蔡さんから誘われ、いわきチームは全員で日本料理店に食事に行くことになる。刺身や天ぷらや焼き魚などを頼み、ビールを飲みながらお互いの家族のこと仕事のこと、そしてこれからのことなどを話した。蔡さんは十数年前に食べた小名浜の市場食堂のウニ丼を思い出し「あのウニ丼美味かったですね」と言った。蔡さんにとって半年間に近いいわきでの生活は、いろいろな経験や喜びの思いを残していることを改めて実感した。楽しい時間はあっという間に過ぎ、蔡さんはまた美術館へ仕事に戻り、私たちはホテルに戻った。

作業5日目の朝は、前日の楽しい夕食の効果があったのか、8時半に目覚ましがなるまで寝てしまう。作業前に美術館スタッフといわきチーム、そして美術館の学芸員が揃ってミーティングが行われる。美術館スタッフの意見は、今から船の傾きを直すのは、持ち上げる道具がなく時間もないのでできないと言う。いわきチームは今ある道具を集めてやってみたいという意見をだした。蔡さんは丁寧に状況を説明し、全員の意見を聞く。そして最終的な結論がでた。船はこのまま状態にして置くことに決まる。しかし、廃船の上に置くセラミックの皿や観音様のかけらの置き方を変えることに蔡さんが決定する。午後には大工さんが手配され、セラミックを載せるための台作りが始まる。

廃船の傾きを直すかどうかを全員で話し合う

Photo Ono Kazuo

セラミックを置くための底上げ作業(廃船右側)

Photo Kanno Yoshio
今まで通路の予定だった廃船の右側はセラミックでいっぱいになる。蔡さんの発想の転換は速くて面白い。青いガムテープ張って白いセラミックを載せる表面の形を示し、その形に大工さんが合板を使い作る。いわきチームの誰かが言った。舞台裏を見るようだ。そして夜8時まで作業して今日の仕事を終わる。明日1日で全ての作業が終わりそうだ。きっと明日には違う雰囲気の蔡さんの作品「いわきからの贈り物」が見れるはずだ。