「廻光 いわきからの贈り物」
Guggenheim 4 
蔡さんの個展タイトルは・・「I want to belive」
廃船組み立てに不安
なんとかなりそう
廃船組み立ては
 ほとんど完成だが・・
蔡さんの個展タイトル
 I want to belive
嬉しかったこと沢山!
カナダ国立美術館
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自然なカーブを作り、セラミックを置く

Photo Kanno Yoshio
廃船の展示方法を変えた為に、白いセラミックの置く場所が2倍になる。だからセラミックの量もかなり必要になる。大工さんが作った合板の台の上にダンボールやプチプチのビニールを使って自然なカーブをいわきチームが作る。そしてその上にセラミックのかけらを置き始める。美術館より、今日中に仕上げて欲しいと要望されている。明日は照明の取り付けと調整があり、夕方にはパーティーが予定されている。早く終わらせたいのは美術館スタッフもいわきチームも一致した気持ちであり、夕方まで終わらせる予定で作業を急ぐ。蔡さんも最後の詰めなのでじっくり考えて決定していく。ダンボールに入ったセラミックはかなりの重量があり、マスクをして作業しているため暑くてシャツに汗がにじんでくる。私は朝早く目が覚め眠気が出ることを心配していたが、体を動かしているので眠くもならず、気持ちが良いくらいだ。

順調に進んでいたが、蔡さんのチェックが入り一部やり直しになる。だんだん形が見えて来てますます作業スピードが上がる。蔡さんの奥さん呉さんがビデオを撮影している。私が近くにセラミックを運んで行くと「ビデオの画面で見るといわきの砂浜のように見えて不思議ですよ」と声をかけられる。

十数年前呉さんは、何度もいわきの廃船引き上げ現場へ手作り水餃子を持って松戸から差し入れに来ていた。蔡さんと私たちは砂浜で焚き火をして、呉さんの差し入れ水餃子を食べ、寒い中頑張ったのだ。呉さんの何気ない言葉の中に蔡さんが、この廃船の作品に込めた思いを感じて嬉しかった。

セラミックを廃船の上に置く

Photo Kanno Yoshio
この廃船は私たちいわきチームが蔡さんの要望に沿ってプレゼントしたものだった。スミソニアン美術館やカナダ国立美術館の展示とはまた違った魅力が、蔡さんによって引き出される。廃船の周りにセラミックの設置が終わると蔡さんは「セラミックの量が間に合いましたね」とにっこりした。呉さんも「一発逆転ですね いわきチームの人達がいるといつもうまくいきますね」と言う。時計を見るともう午後9時をまわっていた。 
 いわきチームのメンバーは全員達成感に満たされ晴れやかな気持ちだった。ホテルに帰る前に食事に寄った。美術館の中でスペインから来ていた関係者から「スペインのグッケンハイムでもよろしくお願いします」と言われたと言う。次はスペインかと話題に花が咲いた。