廃船の引き上げと移動、搬送という大掛かりな作業が終了した後、東北倶楽部を貸しきり、作業中の様子をまとめたビデオの上映会と食事会を企画した。この時いわき市立美術館の館長、藤本元雄氏も手書きの心のこもった表彰状を用意し、駆けつけて下さった。
廃船の掘り出しに失敗し予定外の2日間に及ぶ作業に従事した大木土建の社長は、自分の能力をフルに発揮して無事役割を果たすことのできた映像を大画面の中に確認しながら、すこぶる満足しているようだった。私は表彰状を手にする大木土建の社長に冗談でこんなことを聞いてみた。
「蔡さんが廃船をもう一艘ほしいと言っていますが、もう一度お願いできますか?」すると社長は豪快にこう言って笑った。
「まかしてくれ、もう一艘でも二艘でも引き上げてやるぞ!」
蔡のプランをただ実現させるだけでなく、皆が楽しく携わることができるように働きかけること。それができれば資金がなくても蔡のプランは実現できる!!この日、地平線プロジェクト実行会が担ってきた役割とその意義を深く実現することができたのだった。
|